後見制度とは
後見制度とは、認知症、知的障害、精神障害などによって判断能力が不十分な方を、法律的に保護し支援するための制度です。本人の財産管理や契約行為などを支援し、不利益を被らないように保護します。
後見制度には、大きく分けて「法定後見制度」と「任意後見制度」の2種類があります。
法定後見制度
本人の判断能力が既に不十分な場合に、家庭裁判所が後見人を選任する制度です。本人の判断能力の程度に応じて、以下の3つの類型に分かれます。
- 後見:判断能力が常に欠けている状態の方。
- 保佐:判断能力が著しく不十分な状態の方。
- 補助:判断能力が不十分な状態の方。
家庭裁判所が選任する後見人には、親族の他、弁護士、司法書士、社会福祉士などの専門職が就任します。後見人は、本人の財産管理や身上監護(生活・医療・介護に関する契約など)を行います。
任意後見制度
本人が十分な判断能力があるうちに、将来判断能力が不十分になった場合に備えて、あらかじめ自らが選んだ任意後見人に、どのような支援をしてもらうか、どのような財産管理を任せるかを契約で定めておく制度です。この契約は「任意後見契約」と呼ばれ、公正証書で作成する必要があります。
本人の判断能力が不十分になった後、家庭裁判所が任意後見監督人を選任した時点から、任意後見契約の効力が発生します。任意後見監督人は、任意後見人が適切に職務を行っているかを監督します。
なぜ今、話題なの?
後見制度が近年注目されている背景には、日本の高齢化の進行があります。内閣府の「令和5年版高齢社会白書」によると、日本の総人口に占める65歳以上の高齢者の割合は29.0%であり、今後も増加が見込まれています。これに伴い、認知症患者数も増加傾向にあり、2025年には約700万人になると推計されています。
認知症などにより判断能力が低下すると、預貯金の引き出し、不動産の売買、介護サービスや医療に関する契約などが困難になります。また、悪質な詐欺被害に遭うリスクも高まります。このような状況から、本人の権利と財産を守るための後見制度の重要性が高まっています。
どこで使われている?
後見制度は、以下のような場面で利用されます。
- 財産管理:預貯金の管理、不動産の売買・賃貸、年金や給付金の受領、税金の支払いなど。
- 契約行為:介護サービス契約、医療契約、施設入所契約、保険契約など。
- 相続手続き:遺産分割協議への参加、遺産相続に関する手続きなど。
- 悪徳商法からの保護:本人が不利益な契約を結んでしまった場合の取り消しなど。
特に、金融機関では、認知症と診断された方の口座凍結や高額な引き出し制限を行うケースが増えています。これは、本人の財産保護のためですが、家族であっても本人の意思確認ができない限り、手続きが困難になる場合があります。このような状況において、後見人が選任されていれば、本人の代理人として適切な手続きを行うことが可能となります。
覚えておくポイント
後見制度を利用する上で、以下のポイントを理解しておくことが重要です。
- 法定後見制度の開始:本人の判断能力が低下した後、家庭裁判所に申し立てを行うことで開始します。申し立てができるのは、本人、配偶者、四親等内の親族などです。
- 任意後見制度の準備:本人が元気なうちに、将来に備えて任意後見契約を公正証書で締結しておく必要があります。これにより、信頼できる人に将来の支援を託すことが可能となります。
- 後見人の選任:家庭裁判所は、本人の状況や意向、後見人候補者の適格性などを考慮して、最も適切な後見人を選任します。必ずしも申し立てた人が後見人になるとは限りません。
- 費用:後見人への報酬や、家庭裁判所への申し立て費用などが発生します。これらの費用は、原則として本人の財産から支払われます。
- 本人の意思尊重:後見制度は本人の保護を目的としており、後見人は本人の意思を尊重し、本人の心身の状態や生活状況に配慮して職務を行う義務があります。
本記事は情報提供を目的としており、特定の保険商品の推奨ではありません。保険の加入・解約は必ず保険会社または資格を持つFP(ファイナンシャルプランナー)にご相談ください。